水さえ入れば花器となる!

『THE FLOWER JOURNAL』に掲載されました記事をこちらに…

水さえ入れることができれば花は活けられる
桑原専慶流の師範であり、フラワーアーティストとしても活動する石黒美知子さん。

京都御所の近くで花のアトリエ「アトリエ・ミッチェ・キョウト」を構え、華道家として琳派の華美をいけばなに投影するスタイルで表現活動を行なっています。

一方で、古道具を扱う「ミッチェ・フルーレ・ブロカント」を手掛け、古くなった道具に花を活けて、花器として再びよみがえらせる表現活動も行なっています。

「朽ちたから捨てる選択をするのではなくて、水さえ入れられれば花は活けられます」と、石黒美知子さんは話します。
 
吉本千秋さんが主宰する築100年以上の長屋を改築したギャラリー「ハナミズキ」で、「花器ではないものに花や緑を添えたらどうなるか」というコンセプトのもと、錆びたアイロンやコーヒーミル、鉄のオブジェなどに花入した26作品を展示するワークショップを今回特別に行いました。

石黒美知子さんは、「いけばなは元々、正解がないところにあるものです。計算通りにいかないもどかしさ、できあがった時の喜び、花との一期一会を楽しむのが本来のいけばなの姿ではないでしょうか。花と器、それぞれが持っている表情をどう生していくかを考え、それが合わさったときは、とても嬉しいです」と話します。
 
「今回は、亡くなった父が所有していたものにも花を活けました。父は昭和3年生まれで戦争を体験し、小さいころに物が買えなかったフラストレーションなのか、アンティークをたくさん所有していました。

母方の祖父の影響もあったようですが二人の趣味趣向は全く違います。その祖父は秋葉貞二という京都大学卒業の哲学者で、東京・台東区の出身です。

祖父は、昭和8年4月に京都民藝同好會主催、用の美を集めて柳宗悦氏、河井寛次郎氏とともに大丸で開催された民藝蒐集品展に出展しています。
 
今回本来は用がなくなり、さも捨てられてしまうであろうものに花を活けたのですが、いろいろな思いが溢れ、感慨深く、とても尊い存在と思っております。ブロカントの先駆者であるハナミズキさんのおかげあって、父のコレクションにも価値を見出せました。

昭和ブロカントとかゲテモノと呼ばれるアンティークにはその時代の味があります。もっと楽しんで使ってほしいと願っております」。
 
落としと呼ばれる水を貯めておく器さえあれば、どんな古いものでも花器になると石黒美知子さんは考えます。

「例えば、用としての役割を終えた錆びたアイロンが、花を挿すことで花器として蘇ります。

もし、クリーニング店の店主が人をもてなす機会があったとして、そのアイロンに花を挿して飾るだけでちょっとした粋な遊び心になります。

それから、神社ごとで異なりますが、旧暦の6月30日に執り行われる夏越の祓という神事で使われる茅の輪は、持ち帰ることができます。

それをすっと抜いて持ち帰り、使えなくなった道具に活けることで、植物にとっても器にとっても再生になりますし、飾った場所が崇高な空間になるのではないでしょうか。

愛着に増すものはないと思っております」。

Many Thanks.

Natsuko ISHIKAWA san (is photographer and took these beautiful photos.)

Manabu TAKAMURA san (wrote this article and CEO of this company…)

HANAMIZUKI Antiques (is this shooting location owner)

続きは→https://www.theflowerjournal.co.jp/about/

以下は石黒撮影写真とお手伝いしてくださった佐藤さんが撮ってくださった写真です…